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しおあめにっき!

ひらがなかわいい

定数係数二階線形常微分方程式を解きました

はじめに

微分方程式の解説書を読むと、定数係数二階線形常微分方程式 y'' + a y' + b y = f(x) ( ab は定数)の解法について、唐突に「自由度が2だから」とだけ述べて、非斉次方程式の2つの独立な特解を線形結合して、更に斉次方程式の特解を加えると一般解になると主張しています。何を言っているのか分からないので、別な方法で解いてみることにします。

補題1

y_0y' = f(x) の特解、 c を任意の定数とすると、 y'=f(x) の一般解は、 y = y_0 + c と表される。

証明

y' = f(x) の任意の特解 y に対し、次の関数を定義できます。
\epsilon = y - y_0

これを y について変形し、方程式に代入すると、  y_0' = f(x) より、
\epsilon' = 0
を得ます。ここで、ラグランジュ平均値の定理より、任意の x (\neq 0) に対し、  0 < c < x または  x < c < 0 となる c が存在し、
\displaystyle \frac{\epsilon(x)-\epsilon(0)}{x} = \epsilon'(c) = 0
となるので、 \epsilon(x)=\epsilon(0) です。すなわち、 x の値によらず、一定の値を示すので、この関数は定数関数です。また、定数関数のとる値によらず、方程式が成立するので、命題は示されました。

補足

今後、必要に応じて y'=f(x) の一般解のうちの1つ、すなわち特解を、
\displaystyle \int f(x) dx
と表記することにします。また、これによって、一般解は、任意の定数 c を用いて、
\displaystyle \int f(x) dx + c
書くことにします。

補題2

任意の関数 f(x)g(x) 、定数  \alpha に対し、

  1. \displaystyle \int \left( f(x) + g(x) \right) dx = \int f(x) dx + \int g(x) dx
  2. \displaystyle \int \alpha f(x) dx = \alpha \int f(x) dx

が成立する。

証明

証明は省略します。微分の線形性を用いれば容易に証明が可能です。

補題3

\lambda を定数とする。このとき、 y' - \lambda y = f(x) の一般解は、任意の定数  c を用いて次のように表せる。
\displaystyle y = e^{\lambda x} \left( \int f(x) e^{-\lambda x} dx + c \right)

証明

関数 z := y e^{-\lambda x}y について変形すると、
y = z e^{\lambda x}
となります。これを、方程式の左辺に代入すると、
y' - \lambda y = (z' e^{\lambda x} + \lambda z e^{\lambda x}) - \lambda z e^{\lambda x} = z' e^{\lambda x}
となります。したがって、  c を任意の定数として、
y' - \beta y = f(x) \; \Leftrightarrow \; z' e^{\lambda x} = f(x) \; \Leftrightarrow \; z' = f(x) e^{-\lambda x}
補題1より、
\displaystyle z = \int f(x) e^{-\lambda x} dx + c
\displaystyle y = e^{\lambda x} \left( \int f(x) e^{-\lambda x} dx + c \right)

解く

それでは、  y'' + a y' + b y = f(x) を解いてみましょう。

\lambda^2 + a \lambda + b = 0 の2解を \alpha\beta とすると、
a = -(\alpha + \beta)
b = \alpha \beta
となるので、方程式の左辺は、
y'' + a y' + b y = y'' - (\alpha + \beta) y' + \alpha \beta y = (y' - \alpha y)' - \beta (y' - \alpha y)
となります。ここで、 z := y' - \alpha y を導入すると、この方程式は、
z' - \beta z = f(x)
と書けます。

補題3より、この方程式の解は、任意の定数 c_1 を用いて、
\displaystyle z = e^{\beta x} \left( \int f(x) e^{-\beta x} dx + c_1 \right)
となります。

ところで、 z は次のように定義されました。
z := y' - \alpha y
z は明らかになっているので、補題3より、 c_2 を任意定数とすると、この解は、
\displaystyle y = e^{\alpha x} \left( \int z e^{-\alpha x} dx + c_2 \right)
となります。ここで、先ほど明らかにした z を代入すると、
\displaystyle y = e^{\alpha x} \left( \int e^{(\beta - \alpha) x} \left( \int f(x) e^{-\beta x} dx + c_1 \right)dx + c_2 \right)
補題2より、
\displaystyle y = e^{\alpha x} \int \left( \int f(x) e^{-\beta x} dx \right) e^{(\beta - \alpha) x} dx + c_1 e^{\alpha x} \int e^{(\beta - \alpha) x} dx + c_2 e^{\alpha x}
となります。

相異なる2解 \alpha \neq \beta のとき

k を適当な定数とすると、
\displaystyle \int e^{(\beta - \alpha) x} dx = \frac{1}{\beta - \alpha} e^{(\beta - \alpha) x} + k
なので(定義にしたがって容易に証明可能)、
\displaystyle y = e^{\alpha x} \int \left( \int f(x) e^{-\beta x} dx \right) e^{(\beta - \alpha) x} dx + \frac{c_1}{\beta - \alpha} e^{\beta x} + c_1 k e^{\alpha x} + c_2 e^{\alpha x}
ここで、 c_1 k + c_2c_1 / (\beta - \alpha) は互いに独立な任意の値をとることができるので、それぞれ c_1c_2 に置き直すと、
\displaystyle y = e^{\alpha x} \int \left( \int f(x) e^{-\beta x} dx \right) e^{(\beta - \alpha) x} dx + c_1 e^{\alpha x} + c_2 e^{\beta x}
が得られます。

重解 \alpha = \beta のとき

k を適当な定数とすると、
\displaystyle \int e^{(\beta - \alpha) x} dx = \int 1 dx = x + k
なので(定義にしたがって容易に証明可能)、
\displaystyle y = e^{\alpha x} \int \left( \int f(x) e^{-\beta x} dx \right) dx + c_1 e^{\alpha x} (x + k) + c_2 e^{\alpha x}
ここで、 c_1 k + c_2 は他の定数に対し、独立な任意の値をとることができるので、これを c_2 に置き換えると、
\displaystyle y = e^{\alpha x} \int \left( \int f(x) e^{-\alpha x} dx \right) dx + c_1 x e^{\alpha x} + c_2 e^{\alpha x}
が得られます。

まとめ

本に書いてある方法は結果的にあっていた

非斉次方程式の独立な特解2つを、線形結合するというのは、今回の結果にもよく示されています。そして、その特解の解の形もやはり一致しています。

また、斉次方程式の特解を、非斉次方程式の一般解に加える、という操作も今回の結果に現れています。

斉次方程式の特解を求める方程式が見つかった

斉次方程式の特解 y_0 というのは、試行錯誤して求めなくてはなりませんでした。しかし、今回、
\displaystyle y_0 = e^{\alpha x} \int \left( \int f(x) e^{-\beta x} dx \right) e^{(\beta - \alpha) x} dx
という、まとまった公式を得ることができたのは、大きな成果だと思います。